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梅毒についてちんちんのスペシャリストが教えよう

こんにちは。ちんちんのスペシャリストです!

 

この自己紹介、私(アクロストン夫)が小学校で性教育の授業をやる際のつかみのネタです。

心優しい小学生は笑ってくれます。
ただ、道端で出会った時に「あ!ちんちんのスペシャリスト!」と指さされたり、PTAの餅つき会で「ちんちんのスペシャリストが餅運んでる!」とか叫ばれたりしています。

さて最近ニュースで梅毒の増加が話題になっていますね。

症状や治療の話は色々な媒体で取り上げられてますが、実は梅毒は診断しずらい病気なんです。

普段私達アクロストンは子どもの性教育を主軸にブログを書いてますが、
今回は大人の性教育としてちんちんのスペシャリストである私が梅毒について語りたいと思います。

今日伝えたいのは
「梅毒は他人にうつしやすい」
「梅毒の検査は複雑」
「オーラルセックスもコンドーム」

の3点です。

 

なんで「梅毒」?

変わった名前ですよね。
梅毒を起こす菌の名前は
「トレポネーマ・パリダムTreponema Pallidum」。長い名前ですね。

性病は「クラミジア」とか「淋病」のように起こす菌の名前が病名になっていることが多いのですが、梅毒は違います。

これは梅毒の初期に出てくる湿疹がヤマモモ(揚梅)の色に似ていることから名づけられたそうです

 

梅毒は他人にうつしやすい

梅毒の初期には皮膚や陰部にしこりや潰瘍(えぐれたような状態)が出来ます。ここに菌が多くいます。そのため初期の梅毒は他人にうつしやすいです。

このしこりや潰瘍、痛みがあまり無いうえに放置しておくと消失するので病院を受診する人が少ないのです。
そのうえ初期の梅毒は検査でも引っかけにくい。

なので梅毒は他人にうつしやすい感染症です。

 

検査が複雑!

「菌の検査」というと何を思い浮かべますか?

一般的に「菌の検査」で多く行われているのはインフルエンザの検査でしょうか。鼻に綿棒を突っ込むやつです。
この検査は鼻の粘膜にいるインフルエンザウィルスを検出する仕組みです。

梅毒の場合、こう簡単にはいきません。梅毒の初期に出るしこりや潰瘍には菌が多くいるので、ここから直接菌を集めてきて顕微鏡で見つけることはできます。
でもこれは技術的に難しいし、そもそもやったことのある医師、検査技師が非常に少ないです。

そこで梅毒の場合は菌を直接見つけるのではなく、患者さんの血液の中にいる抗体(菌を倒そうとしているもの)が存在するのかを検査します。

 

ここからちょっと難しい話

患者さんの血液の中に抗体があるかどうかを調べるには、患者血液にその抗体と反応するもの(抗原といいます)を入れて、実際に反応が起こるのかをみます。

反応があれば「陽性」、反応が無ければ「陰性」です(実際の検査の解釈はもっと複雑なのですが割愛)。

梅毒検査は、検査の時に使う抗原の種類によって大きく2つに分けられます。

ちなみに、ここからの話は難しくなってきます。医師でも理解していない人がたくさんいます。

忙しい方は読み飛ばしてOK。太字だけ追ってくださいね。

 

検査その1、STS法

STS法で重要な点は「早期診断に便利」でも、「本当は梅毒じゃないのに陽性になることがある」。詳しい説明を下に書きます。

STS(serologic test for syphilis)法は梅毒を起こす菌、トレポネーマ・パリダムの菌体に含まれる成分に反応している抗体の有無を調べる検査です。

この抗体は感染後4から6週間程で血液内に出現するので梅毒の早期診断に有用です。
ただこの検査はトレポネーマ・パリダムの体の成分「リン脂質」に反応する抗体の有無を調べています。

リン脂質に反応する抗体は妊婦、歯周病、膠原病(リウマチとか)、その他の感染症でも出現することがあります。

本当は梅毒じゃないのにSTS法検査が陽性となってしまう人がいます。

 

検査その2、トレポネーマ・パリダム抗原を使う方法

トレポネーマ・パリダム抗原を使う方法、これをTP法と言います。
TP法は「検査は正確」、でも「早期診断は苦手」です。

こちらは先に説明したSTS法のように、菌体の成分「リン脂質」を抗原として使うわけではなく、トレポネーマ・パリダム自体を抗原として使います。
なのでSTS法と違って「本当は梅毒じゃないのに陽性」になることが少ないです。

でもこの検査感染してから3か月経たないと陽性になりません。
この検査で調べている抗体が出現する時期が遅いのですね。

 

2つの検査を組み合わせますよ!

このように梅毒の血液検査2つには長所・短所があります。
梅毒検査ではこの2つを組み合わせて診断していますが、陽性と陰性、2×2で4通りの結果があるの混乱します。

 

検査の判定方法

先程の検査の特徴覚えてますでしょうか。
STSは「早期診断に便利」でも、「本当は梅毒じゃないのに陽性になることがある」。

TP法は「検査は正確」、でも「早期診断は苦手」。

この長所、短所を組み合わせて検査結果を解釈します。

STS陰性・TP抗原法陰性
この結果の場合、梅毒ではないと判定されます。
ただし、早期診断が得意なSTS法でも感染から4~6週間経過していないと正確ではありません。
なのでこの両方の検査が陰性であっても本当に梅毒にかかっていないとは言い切れません。
ですので病院ではこの両方の検査が陰性でも状況が怪しい(セックスの相手が梅毒確定している)とか、梅毒に典型的な症状が出ている場合は時間をおいてもう一度検査します。

STS陽性、TP抗原法陰性
早期診断が得意なSTS陽性ですので梅毒感染してから初期の段階であることになります。
ただしSTSは「本当は梅毒じゃないのに陽性」ということがあるので確定ではありません。
よって少し経ってからもう一度検査してTP抗原法の結果を再確認します。

STS陽性、TP抗原法陽性
これは解釈が簡単。両方とも陽性のため梅毒と診断。治療開始です。

STS陰性、TP抗原法陽性
この状況も一応あり得ます。
STS法でみている抗体は治療をしていくと消失し、梅毒患者さんであっても陰性となることがあります。よってこの結果は梅毒治療中もしくは治療後の方に出ます。

こんな感じで梅毒検査は行われています。

書いてる本人も混乱してきましたが、大事なのは「梅毒の検査は解釈が難しい」ということです。

 

最後に大事なことを

ここまで検査の話ばかりでしたが、最後に一言。

梅毒はオーラルセックスでも感染すると言われています。
「オーラルでもコンドーム」を合言葉に気を付けてください。

症状などについてはこちらのサイトがよくまとまっています。